Shopifyアカデミーの「Customizing B2B Orders」コースを学びました。
このコースでは、プレオーダー商品や在庫切れ商品の販売対応、B2B顧客への注文制限・クレジット制限の設定方法を中心に、Shopify Flowやメタフィールドなどを使った実践的なカスタマイズ方法について学びました。
ShopifyのB2B機能の基本構成
ShopifyのB2Bにおける主要機能は以下のように整理されています。
- Companies:1つの企業に複数の担当者や配送先を設定できる顧客管理の単位
- Catalogs:企業ごとに異なる価格や購入条件を設定できるカタログ機能
- Payment Terms:顧客単位で支払期限(例:30日後払い)などを柔軟に設定可能
- B2B Checkout:すべての注文をドラフトとして処理し、後から承認・変更ができるチェックアウト機能
- Customer Accounts:B2B顧客専用エリアの表示制御
- Checkout to Draft:注文を即確定せず、一度ドラフトとして処理して確認・調整が可能
これらはShopify Plus以上のプランで提供されている機能で、D2C向けとは異なり企業単位での注文管理や価格設定、支払い条件など、法人向け取引に必要な設定が行えるようになっています。
そもそもB2Bとは?
B2B(Business to Business)とは、「企業と企業の間で行われる取引」を指します。 Shopifyのようなオンラインコマースプラットフォームでは、たとえばメーカーが卸先や小売業者に商品を販売するような取引がB2Bにあたります。
B2B取引では消費者向け(B2C)とは違い、
- 1回の注文数量が多い(ケース単位など)
- 最小注文金額や数量の制限がある
- 請求書払い・後払いなど柔軟な決済方法が求められる
- 顧客ごとに価格や割引条件が異なる
といった特徴があります。
B2Bの以外の主要な取引モデル
B2Bのほかにも、オンラインビジネスでよく登場する取引モデルを簡単に紹介します。
B2C(Business to Consumer)
企業が個人の消費者に商品やサービスを提供する一般的なモデルです。
例:アパレルブランドが公式ECで洋服を販売する、家電量販店のECサイトなど。
D2C(Direct to Consumer)
メーカーやブランドが、仲介業者を通さずに直接消費者に販売するモデルです。
自社で商品の開発から販売まで一貫して行い、ブランドの世界観やストーリーを伝えやすいのが特徴です。
例:スキンケアブランドの公式サイトのみで販売する定期便サービスなど。
C2C(Consumer to Consumer)
消費者同士が商品を売買するモデルで、フリマアプリやオークションサイトに多く見られます。
例:メルカリ、ヤフオク、ラクマなど。
B2B2C(Business to Business to Consumer)
企業が他の企業にサービスを提供し、その企業を通じて最終的に消費者に届けるモデルです。
例:Amazonマーケットプレイス(出店者が商品を販売し、Amazonが顧客接点を提供する)
Preorder設定の実践:メタフィールドの活用
「入荷前の商品をプレオーダーとして販売したい」という要望はB2Bでもよくあるシナリオです。Shopifyではこれをメタフィールド+テーマエディターで柔軟に実装できます。
ここでは、プレオーダー対応商品にメッセージを表示すさせるための設定ステップを紹介します。
① プレオーダー用のメタフィールドを作成する
② プレオーダー対象の商品にメッセージを入力する
③ テーマエディターで商品ページに表示する
④ 「在庫切れでも販売を続ける」をONにする
より詳しい操作手順やスクリーンショット付きの説明は、別記事にてまとめて紹介します。
最小注文金額や数量の設定方法(Order Limits)
B2Bでは「○個以上から注文可能にしたい」「最低注文金額を○ドルに設定したい」といった制限が必要になるケースがよくあります。
Shopifyではこのような条件を実現するためにいくつかの方法が用意されています。コース内では3種類紹介されていました。
MinMaxifyアプリを使う
最も簡単に導入できる方法がShopify App Storeで提供されている「MinMaxify」アプリを使うことです。このアプリを使えば、商品単位やカート全体での最小注文数・金額制限をノーコードで設定することができます。
Shopify Plus以外のプランでも利用できるため、多くのB2Bサイトにとって現実的な選択肢です。

Checkout to Draft機能を活用する
Shopify Plusプランを契約しているストアであれば、「Checkout to Draft」という機能を使って、すべての注文を一度ドラフト状態にしてから承認・確認するフローを構築できます。
これにより条件を満たしていない注文を人の目でチェックし、必要に応じて修正・確認ができるため柔軟な対応が可能になります。
ただしこの方法はShopify Plus専用機能であるため、Plus未満のプランでは利用できないようです。
メタフィールド+バリデーション関数で制御する
より高度な方法としてメタフィールドとサーバーサイドのバリデーション関数を使って、カートやチェックアウト時にルールをプログラムで検証する実装も可能です。
この方法を使えば顧客グループや商品カテゴリごとに細かい条件を設定したり、柔軟な条件分岐ロジックを持たせたりすることができますが、一定のコーディング知識が必要です。

クレジットリミット(取引上限)の設定方法
「この顧客には最大○○ドルまでしか販売しない」といった制限もB2Bではよくあるルールの一つです。
Shopifyでは主に2つの方法で対応できます:
- メタフィールドとShopify Flowを連携させる
- Mechanicというツールが提供しているメタフィールドととカスタムファンクションを組み合わせて設定する
どちらもサンプルコードが用意されているため実際にコードを書く必要は少ないようですが、ややハードルは高めなので、この機能に対応したアプリを探して使うのも現実的な選択肢だと思います。
まとめ:B2B特有の業務フローに柔軟に対応するShopify
今回の学びを通じてShopifyはD2Cだけでなく、B2Bでも細かな業務要件に対応できる柔軟なプラットフォームであることを再認識しました。
特にメタフィールドやFlowを活用すれば、コア機能では実現できない細かい運用ルールもカバーできます。B2Bのニーズは企業や業界によって異なる分、カスタマイズ力が非常に重要になる領域です。
Shopifyアカデミーの「Customizing B2B Orders」コースでは今後の実務や支援でも役立つ知識ばかりだったので、実際に手を動かしながらスキルとして定着させていきたいです。